撮影罪とは│性的姿態撮影等処罰法をわかりやすく解説【制作者向け】

最終更新:2026年7月/ 施行が比較的新しい法律です。運用・改正動向により内容が変わり得ます。

「撮影罪」と聞くと、盗撮の話だと思っていませんか。解説記事のほとんどが、盗撮と被害者の視点で書かれています。

しかし、この法律が本当に効いてくるのは、制作・販売・保管に関わる人です。そして、その視点で書かれた記事は、ほとんどありません。

①撮影 同意なく 性的姿態を撮る ②提供・陳列 販売・配信・共有 公然と見せる ③保管 提供する目的で 持っている ④送信・記録 ライブで送信する 送信を記録する 「撮る人」だけの罪ではない 自分が撮っていなくても、売れば・持てば・流せば、独立した罪になる
図:撮影罪の4つの行為類型(alt=撮影罪 わかりやすく 4類型)

制作・販売・所持のどこに、あなたが関わっているか。それをマッピングしながら読んでください。

撮影罪ができた背景と、従来の条例との違い

この法律ができる前、盗撮は各都道府県の迷惑防止条例で処罰されていました。しかし、そこには構造的な問題がありました。

条例時代の問題 新法での変化
都道府県ごとに内容が違う。県境をまたぐと扱いが変わる 全国統一のルールになった
場所の要件があった(公共の場所など)。自宅や私的空間での撮影が抜け落ちる 場所の要件がなくなった。どこで撮っても対象
撮影しか処罰できず、売る・持つ・流す行為を捉えにくい 提供・保管・送信が独立した罪になった
法定刑が軽い 引き上げられた

制作者にとって、最大の変化は「場所の要件がなくなったこと」です。

条例時代は、「スタジオや自宅で撮っているのだから、公共の場所ではない」という整理が可能でした。その前提は、完全に消えました。

撮影スタジオでも、ホテルでも、自宅でも——同意がなければ、罪になります。

何をすると罪になるか|4つの行為類型

①性的姿態等撮影罪

正当な理由がないのに、同意なく、人の性的な姿態等を撮影する行為です。

「性的姿態等」とは何か

  • 性的な部位——およびその周辺
  • 身につけている下着(通常、衣服で隠されているもの)
  • わいせつな行為・性交等がなされている間の姿態

「裸だけが対象」ではありません。下着姿も、行為中の姿態も、対象に含まれ得ます。

要件の構造

要件 意味
正当な理由がないのに 医療、捜査など、正当な目的がある場合を除外するための要件
同意なく ここが、制作者にとっての生命線

②提供罪・公然陳列罪

「自分が撮っていなくても、売れば罪になる。」

これが、制作・流通業者に直撃する類型です。

撮影罪に当たる撮影で作られた映像を、提供する(渡す・売る・配信する)、または公然と陳列する(誰でも見られる状態に置く)行為が、独立した罪とされています。

あなたの立場 問題になり得る場面
販売サイトの運営者 投稿型サイトで、投稿された素材の中に、同意なく撮影されたものが混ざっていた
素材を買って編集する制作者 購入した素材の出自を確認していない
個人配信者 他人から送られてきた映像を、そのまま販売した

「自分は撮っていない」——それは、提供罪の抗弁になりません。素材の出自を確認していない、という運用そのものがリスクです。

③保管罪

提供する目的で保管している行為も、処罰の対象とされています。

制作者にとっての実務的な意味は、在庫・素材の管理です。

  • 過去に受け取った素材のうち、同意の記録がないものを、販売用に保管し続けていないか
  • 撮影したが公開していない素材の中に、同意の範囲を超えたものが残っていないか
  • 外部から購入した素材で、出自を確認していないものを持っていないか

「持っているだけ」が罪になり得る。この認識で、素材ライブラリを一度洗ってください。

素材の棚卸し|今日やること

HDDを開いて、次の観点で分類してください。

分類 状態 対応
A 自分で撮影し、同意書・年齢確認の記録が揃っている 問題なし。記録を作品と紐付けて保管
B 自分で撮影したが、記録がない 要対応。可能なら遡って書面化。できないなら販売の継続を検討し直す
C 他人から購入・提供された素材。出自が不明 最も危険。提供元に確認できないなら、扱わない
D 撮影したが、同意の範囲を超えている(NG行為が写っている等) 使わない。保管もしない

CとDが1つでもあるなら、それが最大の弱点です。「いつか使うかもしれない」と持ち続けることに、リスクを上回る価値はありません。

④影像送信罪・記録罪

ライブ配信に直結する類型です。

類型 内容
送信 撮影罪に当たる映像を、ライブで送信する行為
記録 送信されている映像を、受信側が記録(録画)する行為

「記録罪」は、配信者にとって重要な意味を持ちます。視聴者が勝手に録画した場合、その行為は録画した者の行為として評価され得ます。

「同意」があれば適法か|同意の有効要件

制作者が最も知りたいのは、ここでしょう。「同意を取れば大丈夫なのか」。

答えは——原則としてそうですが、同意には3つの関門があります。

関門1:年齢基準(13歳・16歳)

一定の年齢未満の場合、同意があっても罪が成立します。

年齢 扱い
13歳未満 同意があっても罪
13歳以上16歳未満 行為者が5歳以上年長である場合、同意があっても罪
16歳以上18歳未満 撮影罪の年齢要件からは外れ得るが——児童ポルノ禁止法が別途、重く重なる
18歳以上 同意の有効性が問題になる領域

制作者にとっての結論は、シンプルです。

18歳未満は、絶対に関わらない。

撮影罪の年齢構造がどうであれ、18歳未満が映像に写れば、児童ポルノ禁止法の世界に入ります。そこは、刑事も、行政も、決済も、プラットフォームも、すべてが同時に飛ぶ領域です。

「16歳以上なら撮影罪は成立しないのか」——そういう問いを立てること自体が、危険な思考です。18歳未満は、確認して、排除する。それだけです。
年齢確認義務の実務

関門2:同意が無効になる場合

形式的に「はい」と言った、サインをした——それだけでは足りません。

同意が無効と評価され得る事情 制作現場での例
欺罔(だます) 「顔は映さない」と言って撮影した/「販売しない」と言って撮影した
威迫(おどす) 「断ったらどうなるか分かるな」/前に撮った映像をちらつかせる
酩酊・心神喪失 酒を飲ませた状態での撮影。実務で最も多い危険パターン
地位・関係の利用 事務所と所属者/雇用主と従業員/経済的に困窮している相手
その場の圧力 撮影当日、スタジオに来てから「これも撮る」と追加を求める。断りにくい状況を作ること自体が問題

「その場で断れなかった」は、同意ではありません。

撮影当日、機材が組まれ、スタッフが揃い、相手が現場にいる——この状況で「これも撮っていい?」と聞くこと自体が、断りにくい圧力を作っています。

だから実務では、撮る内容を、事前に、書面で、特定しておくのです。当日に追加を持ち出さない。これは倫理の話であると同時に、あなた自身を守る手続きです。

関門3:同意の立証と記録化

この法律の実務における、最も重要な一文を書きます。

「同意は、あっただけでは足りない。証明できなければならない。」

紛争になったとき、こちらは「同意していた」と言い、相手は「していない」と言う。そのとき、記録がなければ、こちらが負けます。

記録すべきものは、次のとおりです。

  • 書面による同意——何を撮るか、どこまで撮るかを特定して → 出演契約書の作り方
  • 公表への同意——撮影とは別に取る(後述)
  • 年齢確認の記録 → 年齢確認
  • 説明の記録——何を説明し、相手が理解したことを確認した記録 → AV新法
  • 撮影範囲の合意記録——NGリスト

同意の記録|具体的に何を残すのか

「記録を残せ」と言われても、何をどう残せばいいのか。最小限の型を示します。

残すもの 具体的に 証明できること
同意書(署名入り) 撮影する内容を具体的に列挙。NGリストを相手に書いてもらう欄を設ける 何に同意したか、その範囲
公表同意欄 撮影の同意とは別の欄・別の署名にする。公開先(自社サイト/DL販売/SNS/海外)を列挙してチェックさせる 撮影と公表が別々に同意されたこと
本人確認書類の写し 公的な顔写真付き身分証。確認日・確認者を書いたメモを添える 年齢
説明記録 説明した事項のリストに、「説明を受けました」の確認欄と署名 説明義務を果たしたこと
日付の記録 契約日・撮影日・公表日をスプレッドシートで管理 期間規制の遵守
当日の確認 撮影前に、NGリストを二人で読み合わせ、確認した旨を記録 当日も同意が維持されていたこと

これで足ります。大がかりな体制は要りません。

A4で2〜3枚の書式と、スプレッドシート1枚。それが、あなたと相手の双方を守ります。

逆に、これがなければ——実際に同意を得ていたとしても、証明できません。そして、証明できない同意は、法廷では存在しないのと同じです。

個人撮影・カップル撮影で、何が起きるのか

ここは、検索する人が最も多く、そして最も記事が少ない領域です。正面から書きます。

「恋人同士だから、同意は当然にある」——この前提が、後で崩れます。

撮影した時点では、確かに二人とも合意していた。楽しんでいた。だから何も書面にしなかった。

問題は、別れた後です。

  • 「同意した覚えはない」と言われたら、何を示せますか
  • 「撮影には同意したが、販売には同意していない」と言われたら
  • 「あのとき酔っていた」と言われたら

そして、こうした主張は感情がこじれた後に出てきます。関係が良好だったときの記憶は、後から書き換わります。悪意がなくても、そうなります。

だから、書面を作る

「恋人に契約書を出すなんて、興ざめだ」——その気持ちは分かります。しかし、考えてみてください。

書面を作らない 書面を作る
関係が続く限り、何も起きない 同じく、何も起きない
別れたら、あなたが刑事責任を問われ得る 別れても、同意があったことを示せる
相手も、「勝手に売られた」と苦しむ 相手も、範囲が明確で安心できる

書面は、相手を縛るためのものではありません。お互いを守るためのものです。「何を撮り、どこまで公開するか」を二人で確認する——その手続き自体が、相手への誠実さです。

そして、公表するのであれば、AV新法の適用も考えなければなりません。「業として」の限定がない以上、夫婦間・カップル間の制作でも義務がかかり得ます → AV新法とは

制作現場での実務対応

撮影前

やること ポイント
年齢確認 公的な身分証で。記録を残す
撮影内容の特定 何を撮るか、具体的に。「監督の指示に従う」式の包括条項は機能しません
NGリストの作成 やらないことを、相手に書き出してもらう。これが最も実効的
公表範囲の合意 どこで、どの範囲で公開するか。「切り抜きは?」「海外配信は?」まで詰める
同意書・契約書 署名をもらい、控えを相手に渡す
説明と熟慮の時間 当日にサインさせない。事前に渡し、考える時間を作る

撮影中

「範囲を超えたら、止める」というルールを、明文化してください。

撮影中、その場のノリで範囲外の行為に及ぶ——これが、最頻のリスクシナリオです。

  • 中止ルールを決めておく:相手が中止を求めたら、直ちに止める。理由は聞かない
  • 合図を決めておく:声を出しにくい状況でも意思表示できる方法
  • その場で追加を持ちかけない:どうしても必要なら、いったん撮影を止め、時間を置いて、書面で追加する
  • スタッフにも共有する:カメラマン、照明、メイク。全員が同じルールを知っている状態に

撮影後

  • データの管理:アクセスできる人を限定する。共有ドライブに放置しない
  • 範囲外の素材の扱い:同意の範囲を超えて撮れてしまったものは、使わない。保管もしない(保管罪の問題)
  • 記録の保存:同意書、年齢確認、説明記録を、作品と紐付けて保管
  • 削除の申し出への対応手順:誰が受け、どう処理するかを決めておく

AV新法の説明義務・書面交付とは、要求されているものが重なります。別々の手続きとして二重に走らせるのではなく、一つのフローに統合してください → AV新法とは

撮影会・イベント主催者の注意点

個人撮影会の主催者は、この法律で最も無防備な立場にいます。

理由は単純です。主催者は、撮る人でも、撮られる人でもない——だから「自分は関係ない」と思ってしまう。

しかし、主催者には固有のリスクがあります。

  • 参加者が範囲外の撮影をした——場を提供したのは、あなたです
  • モデルの年齢確認をしていない——主催者として確認する立場にあります
  • 撮影された画像がネットに流出した——提供罪の問題が、参加者に生じ得ます
  • 「同意の範囲」が参加者ごとに曖昧——モデルは何に同意したのか、参加者は何をしてよいのか

主催者が整備すべきもの

整備するもの 中身
モデルとの契約・同意書 撮影される内容、参加者による撮影であること、公開範囲(SNS投稿の可否・商用利用の可否)
参加者との規約 撮影してよい範囲、NG行為、撮影データの利用範囲、違反時の措置
年齢確認 モデル・参加者の双方について → 年齢確認
中止ルール モデルが中止を求めたら、直ちに撮影を止める。主催者が止める権限を持つことを明記
流出時の対応手順 誰が、どう対応するか

「規約に書いてあるから大丈夫」ではありません。

規約は、参加者に読ませ、同意させ、その記録を残して初めて機能します。サイトの隅にPDFを置いておくだけでは、「参加者は知らなかった」と主張されます。

申込時にチェックボックスで同意を取り、その記録を保存する。これだけで、立場がまったく変わります。

配信・販売時の注意|提供罪にならないために

この記事で、最も持ち帰ってほしい概念です。

「同意は二段階ある。撮影への同意と、公表への同意は、別物である。」

撮ることに同意した人が、売ることに同意しているとは限りません。そして、この2つを1枚の書面でまとめて処理している制作者が、非常に多い。

場面 確認すべきこと
過去作品の再販 当時の同意は、今の販売形態(サブスク、海外配信)まで及んでいるか
切り抜き・ダイジェスト 本編への同意が、切り抜きの販売まで含んでいるか
他社への転載・卸し 公表範囲の合意に含まれているか
購入素材・投稿素材 その素材は、同意を得て撮影されたものか。出自を確認しているか

投稿型サイトの運営者へ

ユーザーが投稿した素材の中に、同意なく撮影されたものが混ざっていた場合。それを提供・陳列しているのは、あなたのサイトです。

「投稿者が保証している」という規約があるから安心、とはなりません。投稿時に同意の証明を求める仕組み、通報を受けて削除する仕組み——これらの体制が、実質的な防波堤になります。

投稿型サイト・素材購入者の体制

自分で撮らない事業者ほど、この法律への備えが薄い。しかし、提供罪・保管罪は、まさにその立場を捉えています。

投稿型サイトの運営者

体制 中身
投稿時の確認 投稿者に、同意を得て撮影した旨の表明と、可能なら同意の証明を求める仕組み
年齢確認 投稿者本人だけでなく、映っている人について
通報・削除の窓口 「同意なく撮られた」という申し出を受け付ける窓口と、迅速に削除する手順
記録 誰が、いつ、何を投稿したか。削除の申し出にどう対応したか

「投稿者が保証している」という規約だけでは、足りません。

規約に「投稿者は、同意を得ていることを保証する」と書くのは当然です。しかし、それだけでは、あなたが提供・陳列している事実は消えません。

実質的な防波堤になるのは、①投稿時に証明を求める仕組み ②通報を受けて迅速に削除する体制 ③その記録です。「体制を整えていたか」が、評価を分けます。

素材を購入して編集・販売する制作者

あなたは、提供罪と保管罪の両方の射程に入っています。

  • 購入した素材の出自を確認していますか——誰が、いつ、どういう同意のもとに撮影したものか
  • 提供元から、同意の記録を受け取っていますか——「同意は取ってあります」という口頭の説明だけになっていないか
  • 出自不明の素材を、販売用に保管していませんか——それ自体が、保管罪の問題になり得ます

取引の型を、変えてください。

素材を仕入れる際、契約書に次を入れる。

  • 提供元が、被撮影者から撮影および公表について同意を得ていること
  • 被撮影者が18歳以上であることを確認し、記録していること
  • 求めに応じて、同意および年齢確認の記録を提示すること
  • 違反があった場合の責任分担

これは、あなたを免責するためではありません。「体制を整えていた」という事実を作るためであり、同時に、出自の怪しい素材を持ち込む相手を、入口で排除するためです。

罰則と時効

構造として押さえておくべきことは、次の3点です。

  • 類型ごとに法定刑が異なる——撮影・提供・保管・送信で、重さが違います。特に不特定多数への提供(公然陳列)は重く扱われます
  • 没収・消去の規定がある——押収された記録媒体の中の映像を消去する仕組みが設けられています。「データが残り続ける」被害を断つための制度です
  • 公訴時効——罪ごとに定められています。「昔のことだから」は、必ずしも安全ではありません

制作者にとっての実務的な意味

「撮影より、提供のほうが重く扱われ得る」という構造を理解してください。

これは、販売する側・流通させる側にこそ、重い責任があるという価値判断です。1人の被害が、拡散によって取り返しのつかないものになるからです。

したがって、あなたが「撮っていない」ことは、まったく安全材料になりません。むしろ、売っているなら、そちらのほうが重い。素材の出自を確認しない運用は、この構造の真正面に立っています。

AV新法・わいせつ罪との関係整理

この3つを混同している人が、本当に多い。整理します。

法律 見ているもの クリアの仕方
撮影罪 撮影という行為と、その同意 実質的な同意と、その記録
AV新法 契約と公表のプロセス 書面交付・説明・期間規制・記録保存
刑法175条 コンテンツの中身(わいせつ性) 適切な修正
風営法 営業の形態 届出

4つとも、独立してかかります。

  • 同意書があっても、無修正で売れば175条の問題は残る
  • 修正していても、同意なく撮っていれば撮影罪
  • 両方クリアしていても、期間規制に違反すればAV新法違反
  • 全部クリアしていても、無届なら風営法違反

「1つクリアしたから安心」という発想が、いちばん危ない。4象限の全体像は配信の法律リスク総まとめへ。

よくある質問

Q1. 同意書にサインをもらえば絶対に大丈夫ですか?

書面は万能ではありません。①同意の実質性(威迫・欺罔・酩酊・地位利用があれば無効になり得る)②同意の範囲(撮影と公表は別)③年齢(一定年齢未満は同意があっても罪)——この3点で足りなくなります。書面は出発点であって、免罪符ではありません。

Q2. 法施行前に撮影した映像を、今販売するのは?

刑法の適用は行為の時点を基準に考えるのが原則です。ただし、この法律は提供も独立した罪としています。撮影が施行前でも、提供という行為を施行後に行っているのであれば、その行為が評価される可能性があります。過去作品の販売継続に不安があるなら、個別に確認してください。

Q3. モザイクをかければ撮影罪は問題ないですか?

別の問題です。撮影罪は撮影という行為と同意を見ています。わいせつ罪は中身を見ています。モザイクは後者の話であり、同意なく撮影した事実を消してくれません。

Q4. 配信の視聴者が勝手に録画したら、配信者側の責任は?

録画した者自身の行為として評価される類型があります。配信者側としては、規約による禁止の明示と技術的対策に意味があります。録画を完全に防ぐことは困難ですが、禁止を明示していれば、流出後の削除請求や損害賠償の足場になります。何も定めていなければ、主張の根拠を欠きます → 利用規約に入れるべき条項

この法律が、制作者に突きつけていること

撮影罪は、盗撮を取り締まるための法律だと思われています。しかし、実際にこの法律が変えたのは、制作現場のルールです。

変わったことを、3つにまとめます。

  1. 場所の要件が消えた——スタジオでも、自宅でも、ホテルでも、同意がなければ罪
  2. 撮る人以外も、罪に問われる——売る人、持つ人、流す人。「自分は撮っていない」は抗弁になりません
  3. 同意は「証明できる」必要がある——あっただけでは足りない

そして、これは制作者を守る法律でもある

意外に思われるかもしれませんが、この法律は、まともにやっている制作者を守ります。

同意を取り、範囲を明確にし、記録を残している制作者は——後から「同意していない」と言われても、証明できます。関係が壊れても、感情がこじれても、記録は変わりません。

逆に、記録を残していない制作者は、実際に同意を得ていたとしても、それを示せません。そして、示せない同意は、法廷では存在しないのと同じです。

「面倒だから書面は作らない」——その面倒を避けたことが、あなたの人生を賭けることになります。

A4で2〜3枚。スプレッドシート1枚。それだけで、あなたも、相手も守られます。

撮影会・イベント参加者へ

主催者側だけでなく、参加者(撮影する側)にも触れておきます。

やってはいけないこと なぜ
合意した範囲を超えた撮影 撮影罪の射程に入ります。「その場のノリ」は同意ではありません
盗み撮り(隠し撮り) 言うまでもなく、撮影罪です
撮影データのSNS投稿・共有 合意の範囲外なら、提供罪の問題になり得ます
データの保管 提供する目的で持っていれば、保管罪

「趣味の撮影だから」は、免罪符になりません。撮影罪には、業として行うかどうかの限定がありません。

ライブ配信の視聴者へ

配信されている映像を録画する行為も、記録罪として問題になり得ます。「保存しただけ」「自分で見るだけ」——行為の類型として、条文が捉えています。

そして、それを他人に渡せば、提供罪です。

「友達に送っただけ」「グループに上げただけ」——これらは、すべて提供にあたり得ます。そして、一度ネットに出た映像は、二度と消えません。

軽い気持ちの1回が、出演者の人生を壊し、あなた自身の人生も壊します。

この法律の、根底にあるもの

撮影罪は、条文だけを読むと、制作者にとって厳しい法律に見えます。同意の証明を求められ、素材の出自を問われ、保管まで罪になる。

しかし、この法律が守ろうとしているものは、単純です。

「同意していない映像を、撮られない。売られない。残されない。」

それだけです。そして、まともに仕事をしている制作者は、もともとそれを守っています。同意を取り、範囲を決め、約束を守る。この法律が禁じているのは、それをしない者の行為です。

だから、負担に感じるのは、書面と記録の手間だけのはずです。そして、その手間は、あなた自身を守るために使われます。

同意を取っていたのに証明できない制作者と、同意を取って記録も残している制作者。その差は、紙2〜3枚です。

なお、本記事は制作者・配信者向けの実務解説です。撮影罪の各類型の成否は、行為の態様、同意の有無と実質、対象者の年齢など、個別の事情によって判断されます。本記事は、個別の事案について適法性を保証するものではありません。判断に迷う場面があれば、撮影する前に確認してください。撮ってしまった後では、選べる選択肢が大きく減ります。

最後に、繰り返しになりますが——同意は「あった」だけでは足りず、「証明できる」必要があります。この一文だけを持ち帰ってもらえれば、この記事の目的は達成です。書面を作る手間は、たかだか数十分。それを惜しんだ結果、失うものの大きさとは、比べものになりません。

まとめ

  • 撮影罪は「撮る人」だけの罪ではない。提供・保管・送信が独立した罪になる
  • 条例時代と違い、場所の要件がない。スタジオでも自宅でも対象
  • 同意には3つの関門——年齢/実質性/記録
  • 「その場で断れなかった」は同意ではない。当日に追加を持ちかけない
  • 同意は二段階。撮影への同意と、公表への同意は別物
  • 素材の出自を確認していないことが、提供罪・保管罪のリスクになる
  • すべての結論は一つ——「同意は、証明できなければならない」

撮影フロー・同意書面の整備サポート

撮影会の主催者、制作サークル、個人制作者向けに、次を整備します。

  • 同意書・NGリストの書式
  • 撮影前・撮影中・撮影後のフロー(中止ルール、範囲外素材の扱いを含む)
  • 年齢確認・記録保存の規程
  • AV新法の説明義務・書面交付との統合(二重運用にしない)

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同意なく撮影された方・流出でお困りの方へ

この記事は制作者向けですが、被害に遭われた方のための公的な相談窓口があります。一人で抱え込まないでください。

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※本記事は2026年7月時点の一般的な解説です。施行が新しい法律であり、運用・解釈は変わり得ます。