風営法の種類一覧|1号〜5号・性風俗関連特殊営業の違いを図解【行政書士監修】


最終更新:2026年7月/ 東京(警視庁管内)での一般的な取扱いを前提としています。運用には地域差・時期差があります。

「うちの店は風営法の対象なのか」「ネットのアダルト事業に許可はいるのか」——開業準備でこの疑問にぶつかった方に向けて、業態から逆引きできる早見表を最初に置きます。まずここで自分の区分の当たりをつけてください。

▼ 業態別・風営法の区分早見表
あなたの業態 風営法上の区分 必要な手続き
キャバクラ・ホストクラブ・スナック 風俗営業1号(接待飲食等営業) 許可
ガールズバー・コンカフェ 接待の有無で1号 or 飲食店のみ 許可 or 深夜届出(要判定)
照明を落としたバー 風俗営業2号(低照度飲食店) 許可
個室・区画席の飲食店 風俗営業3号(区画席飲食店) 許可
パチンコ店・マージャン店 風俗営業4号 許可
ゲームセンター・アミューズメント施設 風俗営業5号 許可
ナイトクラブ(深夜に遊興+酒類) 特定遊興飲食店営業 許可
深夜営業のバー(遊興なし) 深夜酒類提供飲食店営業 届出
デリヘル・派遣型店舗 無店舗型性風俗特殊営業1号 届出
アダルトグッズ・DVDの通信販売 無店舗型性風俗特殊営業2号 届出
有料アダルトサイト・ライブチャット運営 映像送信型性風俗特殊営業 届出
ソープ・店舗型ヘルス・ラブホテル等 店舗型性風俗特殊営業 届出(ただし新規は事実上不可)
テレクラ・ツーショットダイヤル 電話異性紹介営業 届出

この表で当たりがついた方は、該当する章へ進んでください。判断に迷う方は判断フローチャートへ。

風営法とは|何を・なぜ規制する法律か

風営法の正式名称は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」です。目的として掲げられているのは、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持すること、そして少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止することです。

最大の誤解:「風俗」=性風俗ではない

風営法の「風俗」は、性的なサービスだけを指す言葉ではありません。パチンコ店もゲームセンターもキャバクラも、すべて風営法の対象です。性風俗はそのうちの一部(性風俗関連特殊営業)にすぎません。

この誤解を抱えたままだと、「うちはアダルトじゃないから風営法は関係ない」と考えてゲームセンターやコンセプトカフェを無許可で開業してしまう、という事故が起きます。実際、無許可営業での摘発はこのパターンが少なくありません。

風営法の規制は、大きく3本柱で理解すると全体像が掴めます。

内容
①営業の許可・届出 営業を始める前に、公安委員会の許可を得るか、届出をする。どちらが必要かは業態で決まる
②営業時間・場所の制限 深夜営業の禁止、住居集合地域や学校・病院の近くでの営業禁止(禁止区域)
③年少者の保護 18歳未満を客としない、働かせない。年齢確認の体制が営業者の義務になる

この3本柱のうち、開業前に問題になるのが①と②、開業後にじわじわ効いてくるのがです。とくに③は、違反したときの重さが他とは次元が違います。詳しくは年齢確認義務の記事で扱っています。

窓口はすべて公安委員会(実際の受付は所轄の警察署・生活安全課)です。保健所の飲食店営業許可とはまったく別系統の規制である点も、最初に押さえてください。「保健所の許可は取ったから大丈夫」は、風営法の世界では通用しません。

飲食店営業許可 風営法の許可・届出
所管 保健所(都道府県知事) 公安委員会(窓口は警察署)
目的 食品衛生 善良の風俗・清浄な風俗環境・少年の保護
審査対象 厨房設備・衛生管理 営業者の人的要件・場所・構造・営業方法

飲食を伴う業態では、この二層をどちらもクリアする必要があります。片方だけでは営業できません。摘発される店の多くは「保健所の許可は持っている」——だから安心してしまう。しかし警察が見ているのはまったく別の項目です。

そしてもう一つ、タイミングの原則があります。許可も届出も営業を始める前に済ませるものです。「とりあえず開けて、様子を見てから手続きする」という順序は、その時点で無許可営業・無届営業になります。オープン日を先に決めてから手続きを調べ始めて間に合わない、というのは開業相談で最もよくある事故です。許可営業は申請から許可まで2か月近くかかることを前提に、逆算してスケジュールを組んでください。

風俗営業(1号〜5号)の種類

風俗営業は1号から5号まであり、いずれも許可制です。無許可で営業すれば、それ自体が処罰の対象になります。各号を「定義→代表例→手続き→つまずきポイント」の順で整理します。

まず共通:1〜5号すべてに効く「3つの要件」

どの号であっても、許可を得るには次の3つを満たす必要があります。1つでも欠ければ許可は下りません

  • 人的要件:営業者(法人なら役員全員)が欠格事由に当たらないこと。一定の前科、暴力団関係者、破産して復権していない者などが該当します
  • 場所的要件:用途地域(住居系の地域では原則不可)と、学校・図書館・病院など保全対象施設からの距離。ここが最大の関門です
  • 構造的要件:客室の広さ、見通しを妨げる設備の有無、照度、区画の構造など。内装設計に直結します

開業相談で最も多い事故は、場所的要件を確認せずに物件を契約してしまうことです。用途地域や保全対象施設との距離は、どれだけ内装に金をかけても後から変えられません。契約後に「ここでは許可が下りない」と判明した場合、保証金も内装費も戻ってきません。物件を押さえる前に、住所だけで判定できる——この順序を守るだけで、失うものが大きく変わります。

1号:接待飲食等営業(キャバクラ・ホスト・料亭)

客を「接待」して飲食させる営業です。代表例はキャバクラ、ホストクラブ、スナック、料亭。ここでいう接待とは、歓楽的な雰囲気を醸し出す方法で客をもてなす行為を指します。特定の客の相手をして継続的に談笑する、隣に座ってお酌をする、一緒にゲームをする、といった行為が典型です。

つまずきポイント:「カウンター越しなら接待にならない」という業界の俗説は正確ではありません。物理的な位置ではなく、行為の実質で判断されます。この境界線が最も問題になるのがガールズバーとコンセプトカフェで、接待に当たる行為の具体例はコンカフェと接待の記事で20例に分けて整理しています。

2号:低照度飲食店

客席の照度を10ルクス以下にして営業する飲食店です。10ルクスは、かなり暗い水準です。「雰囲気のあるバー」を目指して照明を落としすぎると、意図せず2号営業に該当することがあります。

つまずきポイント:実務上、単独で2号の許可を取るケースは多くありません。むしろ「暗い店で、従業員が客の隣に座っている」という形で1号との境界問題になります。照度を落とすなら、接客の運用とセットで設計してください。

3号:区画席飲食店

客席が狭く区画され、外から見通すことが難しい構造の飲食店です。個室的な空間を設けて営業する形態が該当します。

つまずきポイント:「個室があれば全部3号」ではありません。ネットカフェの個室や、一般的な飲食店の個室とは、面積要件と見通しの基準で区別されます。内装設計の段階で構造要件を確認しないと、開業直前に作り直しになります。

4号:マージャン店・パチンコ店

射幸心をそそるおそれのある遊技設備を設けて客に遊技をさせる営業です。パチンコ店、パチスロ店、マージャン店が該当します。

賭博罪との関係:「パチンコは賭博ではないのか」という疑問は検索でもよく見かけます。整理すると、風営法の許可と、刑法の賭博罪はレイヤーが違います。風営法上の許可を得ていても、現金を賭ける行為が適法になるわけではなく、遊技の結果として提供できるものには法令上のルールがあります。「許可さえあれば何でもできる」という発想は、風営法のどの区分でも成り立ちません。

5号:ゲームセンター等の遊技場

スロットマシン、テレビゲーム機など、客の射幸心をそそるおそれのある遊技設備を設けて客に遊技をさせる営業です。ゲームセンターが代表例です。

つまずきポイント:該当性の判断が最も相談の多い区分です。

  • クレーンゲーム専門店:遊技設備を設けている以上、5号に当たり得ます
  • ダーツバー:遊技設備の性質と、飲食の主従関係で判断が分かれます
  • アミューズメントカジノ:金銭を賭けない前提でも、設備と運用次第で5号該当性が問題になり、加えて賭博罪のリスクを別途検討する必要があります
  • 設置台数:飲食店に数台のゲーム機を置いた場合、店舗面積に対する遊技設備の割合で判断される考え方があります

「うちは飲食がメインでゲームはおまけ」という主張が通るかどうかは、実態(売上構成・設備の割合・客の滞在目的)で見られます。感覚での自己判断は危険な領域です。

5号が厄介なのは、「射幸心をそそるおそれ」という評価的な要件が入っている点です。同じ機械でも、置き方・遊び方・景品の出し方によって評価が変わり得ます。新しい遊技体験を売りにする業態(体験型施設、eスポーツバー、アミューズメント系の複合店)ほど、既存の区分に当てはめる作業そのものが難しい。この種の業態は、事業計画の段階で所轄と事前相談をしておくのが結局いちばん安全です。

性風俗関連特殊営業の分類

ここからが、本サイトの読者に最も関係の深い区分です。まず全体の構造を押さえてください。

性風俗関連特殊営業の3つの特徴

  1. 許可ではなく「届出」:事前審査を経て許可が下りる制度ではなく、届出書を提出して受理される制度です
  2. その代わり、店舗型は新規開業が事実上不可能:届出制でも、禁止区域規制によって新規に出せる場所が実質的に残っていません
  3. ネット完結型も対象:店舗がなくても、映像送信型として届出対象になり得ます

「届出制だから簡単」ではありません。入口(手続き)は軽く、出口(規制と罰則)は重い——これがこのカテゴリーの本質です。

法律上、性風俗関連特殊営業は次の5つのカテゴリーに分かれます。

性風俗関連特殊営業 店舗型 性風俗特殊営業 ソープ・ヘルス ラブホ等(6業種) 無店舗型 性風俗特殊営業 デリヘル(1号) 通信販売(2号) 映像送信型 性風俗特殊営業 アダルトサイト ライブチャット 店舗型 電話異性紹介 テレクラ 無店舗型 電話異性紹介 ツーショット等 すべて「許可」ではなく「届出」 ただし店舗型は禁止区域規制により新規開業が事実上不可能 映像送信型は場所の規制がなく、要件を満たせば適法に営業できる
図:性風俗関連特殊営業の5分類(alt=風営法 種類 一覧 性風俗関連特殊営業)

店舗型性風俗特殊営業(6つの業種)

店舗を設けて営むタイプで、法律上は6つの業種に細分されています。

業種 代表例
1号 個室浴場業 ソープランド
2号 個室を設けて異性の客に接触する役務 店舗型ファッションヘルス
3号 性的好奇心をそそる見せ物・ショー ストリップ劇場
4号 異性を同伴する客の休憩用施設 ラブホテル
5号 性的好奇心をそそる物品の販売・貸付 アダルトショップ
6号 店舗を設けて異性交際の場を提供 出会い喫茶

重要なのは、この区分は「届出制だが、新規には出せない」という点です。禁止区域規制により、新たに開業できる場所が実質的に存在しません。既存店の営業を引き継ぐ形も、届出の名義や実態の評価で問題になります。「該当してしまったら、適法化の道がない」——これが店舗型の恐ろしさです。

無店舗型性風俗特殊営業(デリヘル・通信販売)

店舗を設けず営むタイプで、2つに分かれます。

  • 1号(派遣型):客の住居やホテルに派遣して接触する役務を提供する営業。いわゆるデリヘル
  • 2号(通信販売型):アダルトDVD・グッズ等を郵送等で販売する営業

見落とされがちなのが2号です。「ネット通販でアダルトグッズを売っているだけ」という認識で、届出をしないまま運営しているECサイトが少なくありません。店舗を持たないため風営法を意識するきっかけがなく、決済代行の審査で初めて指摘されて発覚する、というパターンをよく見ます。

映像送信型性風俗特殊営業(アダルトサイト・ライブチャット)

本サイトの読者に最も関係が深い区分です。専ら性的好奇心をそそるため、性的な行為の場面や裸体の映像を、電気通信設備を用いて客に送信する営業を指します。有料アダルト動画サイト、ダウンロード販売サイト、ライブチャットサイトの運営が典型です。

この区分には、他の性風俗関連特殊営業と決定的に違う特徴があります。

映像送信型には禁止区域規制がない

店舗型は「該当したら新規開業できない」のに対し、映像送信型は要件を満たせば届出のみで適法に営業できます。つまり、是正の道が開いている類型です。

「性風俗関連特殊営業に当たる=もう手遅れ」と思い込んで無届のまま営業を続けている事業者がいますが、映像送信型についてはその前提が間違っています。今からでも適法な状態に移行できます。

実務で問題になるのは、誰が届出義務者かという点です。サイトを運営する事業者なのか、そこに出演・出品している個人なのか。この判断枠組みは個人配信者の該当基準で、届出の具体的な手続き(必要書類・費用・流れ)は映像送信型の届出方法で扱っています。

5類型すべてに共通する営業規制

届出をすれば終わり、ではありません。性風俗関連特殊営業には、営業を続けている限り効き続ける義務があります。これが「入口は軽く、出口は重い」の実体です。

義務 内容
年少者の保護 18歳未満を客としない。18歳未満を働かせない。年齢確認の体制が営業者の義務になる
広告・宣伝の規制 清浄な風俗環境を害する方法での広告が禁止される。SNS運用・アフィリエイトも営業者の責任範囲
名義貸しの禁止 自分の名義で他人に営業させることは禁止。「届出を持っている人に名前を借りる」は違法
従業者名簿の備付け 誰が働いているかを記録・保存する
変更届 届出事項(事務所・URL・役員等)が変われば、その都度届け出る

このうち、事業を一撃で終わらせる力があるのは年少者関連です。18歳未満が絡んだ場合、刑事責任・行政処分・決済停止・プラットフォームからの永久追放が同時に来ます。「知らなかった」という抗弁が最も通りにくい領域でもあります。出演者の年齢確認をどの水準でどう記録するかは、年齢確認義務の実務記事で具体的に解説しています。

店舗型・無店舗型電話異性紹介営業

面識のない異性との交際を希望する者に、電話による会話の機会を提供する営業です。店舗を設けるもの(テレクラ)と、設けないもの(ツーショットダイヤル等)に分かれます。

現代的な論点は、マッチングアプリ・出会い系サービスとの境界です。インターネットを用いた出会い系サービスは、電話異性紹介営業ではなく出会い系サイト規制法(インターネット異性紹介事業)という別の法律の枠組みで届出が必要になります。「電話」を使うか否かで適用法令が変わる、という構造です。

特定遊興飲食店営業・深夜酒類提供飲食店営業

風俗営業でも性風俗関連特殊営業でもない、第3のグループです。ナイトクラブや深夜営業のバーはここに入ります。

特定遊興飲食店営業 深夜酒類提供飲食店営業
内容 深夜に客に遊興をさせ、かつ酒類を提供する 深夜に酒類を提供する(遊興はさせない)
代表例 ナイトクラブ、大型ライブバー 深夜営業のバー、居酒屋
手続き 許可(場所・構造の要件あり) 届出
重さ 重い(営業できる場所が限られる) 軽い(届出のみ)

「遊興」とは、客に積極的に遊びやショーを提供して楽しませる行為です。判断のイメージは次のとおりです。

遊興に当たり得る 当たらないと整理されやすい
DJが客を煽ってフロアを盛り上げる/ショー・生演奏を客に見せる/カラオケ設備を提供して客に歌わせる/スポーツ観戦イベントとして盛り上げる BGMとして音楽を流すだけ/店内にテレビがあるだけ/客が勝手に踊っているのを放置している

ポイントは「店が積極的に働きかけているか」です。同じ設備でも、店側の関与の仕方で評価が変わります。深夜0時以降も営業したいバー・ライブハウスにとって、ここは営業モデルの根幹に関わる分岐です。

ガールズバーが最も危険な理由

ガールズバーやコンカフェの多くは深夜酒類提供飲食店営業の届出で運営されています。ここで接待に当たる行為をしてしまうと、1号営業の無許可営業になります。「届出は出しているから大丈夫」ではありません。深夜届出は接待を許すものではないからです。この構造が、コンカフェ摘発の最頻パターンです。詳細はコンカフェと接待の記事へ。

「許可制」と「届出制」の違い

ここまで「許可」「届出」という言葉を使い分けてきました。この違いを理解しないと、風営法の全体像は掴めません。

許可制 届出制
対象 風俗営業1〜5号、特定遊興飲食店営業 性風俗関連特殊営業、深夜酒類提供飲食店営業
審査 あり。要件を満たさなければ拒否される なし。形式が整えば受理される
人的要件 欠格事由(一定の前科、暴力団関係者、破産者で復権していない者等)に当たると不可 欠格事由に当たる者は営業できない(届出をしても営業自体が違法)
場所的要件 用途地域・保全対象施設(学校・病院等)からの距離 店舗型は禁止区域規制あり。映像送信型は場所の規制なし
構造的要件 客室の広さ・見通し・照度などの基準あり 原則なし
期間 申請から許可まで55日程度が目安(標準処理期間) 受理されれば営業可能

専門家として最も伝えたい非対称性

「届出のほうが楽」——それは入口の話にすぎません

届出制の性風俗関連特殊営業は、開業手続きこそ軽いものの、営業規制(年少者・広告・名義貸し)と罰則、そして行政処分の負担は決して軽くありません。しかも、事前審査がないということは、「役所のお墨付き」がないまま営業を始めるということでもあります。要件を満たしていないのに届出だけ出して営業していた、という状態は、届出をしていても違法です。

許可営業は「入口で止められる」。届出営業は「入口は通れるが、後で刈られる」。この構造の違いを理解しておくことが、事業設計の出発点になります。

判断フローチャート|あなたの事業はどの区分か

早見表で当たりがつかなかった方は、上から順にYes/Noで進んでください。分岐の意味は、チャートの下で解説します。

START:あなたの事業は? Q1. 性的なサービス・コンテンツを扱う? NO 接待・低照度・遊技設備・深夜? 風俗営業1〜5号/深夜届出/特定遊興 YES Q2. 実店舗に客を来させる? YES 店舗型新規開業は事実上不可 NO Q3. 提供するのは「映像」か「人」か 人の派遣 無店舗型1号デリヘル → 届出 物販 無店舗型2号通信販売 → 届出 映像 Q4. 自分がサイトを運営して対価を得る? YES 映像送信型性風俗特殊営業→ 公安委員会へ届出 出演のみ 原則、義務者は運営者側 ※どの終点にも当てはまらない気がする場合こそ、判断を誤っている可能性が高い グレーな業態ほど、開業前に区分を確定させる価値がある
図:風営法 区分判断フローチャート(alt=風営法 種類 一覧 判断フローチャート)

各分岐が問うていること

Q1「性的なサービス・コンテンツを扱うか」——ここが最初の大きな分かれ道です。NOなら風俗営業(1〜5号)・特定遊興・深夜酒類のグループへ、YESなら性風俗関連特殊営業のグループへ進みます。多くの人が「アダルトかどうか」で法律が分かれると思っていますが、正確にはこの分岐から先が分かれるだけで、どちらも同じ風営法の中の話です。

Q2「実店舗に客を来させるか」——客が来る店舗を構えるなら店舗型です。そして店舗型に到達した時点で、新規開業は事実上不可能という結論に突き当たります。ここが最も重い終点です。メンズエステの相談が難しいのは、本人は「リラクゼーション店」のつもりでも、サービス実態によってはこの終点に落ちてしまうからです(メンズエステと風営法)。

Q3「提供するのは映像か、人か」——人を派遣するなら無店舗型1号(デリヘル)、物を送るなら無店舗型2号(通信販売)、映像を送るなら映像送信型。ここで2号(通信販売)を見落とすのが典型です。アダルトグッズのECサイトを「ただのネット通販」と認識していると、この分岐を素通りしてしまいます。

Q4「自分がサイトを運営して対価を得るか」——映像送信型に進んだ場合の最後の分岐です。YESなら届出義務者はあなた。プラットフォームに出演・出品しているだけならNOで、義務者は原則として運営側です。この判断が最も相談が多く、判断枠組みを個人配信者の該当基準で詳しく展開しています。

各終点から先の詳細は、以下の記事へ進んでください。

  • 風俗営業1号(接待の該当性)→ コンカフェ・ガールズバーと接待の境界線
  • 店舗型に近いサービス設計 → メンズエステは風営法の対象か
  • 映像送信型の該当性 → 個人配信者の該当基準
  • 映像送信型の届出手続き → 必要書類・費用・流れ
  • ライブチャット事務所・代理店 → 開業に必要な届出

「どこにも当てはまらない気がする」という感覚は、危険信号です。新しい業態ほど、既存の区分のどれかに引っかかっているのに、名前が違うために自覚がない、という状態に陥ります。コンセプトカフェもメンズエステも、最初は「新しい業態だから風営法は関係ない」と考えられていました。

無許可・無届で営業した場合

許可を受けずに風俗営業を営んだ場合、届出をせずに性風俗関連特殊営業を営んだ場合、いずれも刑事罰の対象になります。加えて、刑事とは別に営業停止命令などの行政処分があり、この2つは独立して来ます。「刑事で不起訴になったから行政処分もない」とはなりません。

さらに重要なのが、前科が将来の許可の欠格事由に跳ね返るという構造です。風営法違反で有罪になると、一定期間は許可が取れなくなります。これは業界からの退場を意味します。目先の罰金額よりも、この将来影響のほうが事業者にとっては重い。

もう一つ、実務で見落とされがちなのが従業員・関係者への波及です。両罰規定により、行為者個人と法人の双方が処罰され得ます。「雇われ店長」が行為者として立件される構図は、決して珍しくありません。経営者が「自分の名前は出していない」と考えていても、実質的な経営者として認定される場面があります。

違反類型ごとの刑事罰・行政処分・前科の影響は、風営法違反の一覧記事で通しで整理しています。すでに違反状態にあると自覚している場合の是正の進め方も、そちらに書いています。

ただし、この記事を「脅し」で終わらせるつもりはありません。違反状態は、多くの場合、是正できます。とくに映像送信型は場所の規制がなく、今からでも届出をして適法な状態に移行できます。コンカフェのようなグレー運営も、営業スタイルを設計し直すか、許可を取るかという出口があります。気づいた時点が、いちばん安く直せるタイミングです。

よくある質問

Q1. 風営法の「風俗」は性風俗のことですか?

いいえ。キャバクラ、パチンコ店、マージャン店、ゲームセンターも風営法の対象です。性風俗はそのうちの「性風俗関連特殊営業」という一部のカテゴリーにすぎません。この誤解が、ゲームセンターやコンカフェの無許可営業につながります。

Q2. ネットだけで完結するアダルト事業も風営法の対象ですか?

対象になり得ます。有料アダルトサイトやライブチャットサイトの運営は映像送信型性風俗特殊営業として届出が必要になる場合があります。店舗を持たなくても風営法の枠外ではありません。該当性の判断基準はこちらの記事で場合分けしています。

Q3. 許可と届出はどちらが大変ですか?

手続きの重さは許可が圧倒的に上です。ただし、届出営業は開業が容易な代わりに営業規制と罰則の負担が重いという非対称性があります。「届出だから軽い」という理解は、開業後にしっぺ返しを食らいます。

Q4. バーやカフェでも風営法の許可が必要になることはありますか?

あります。接待に当たる行為をすれば1号許可、照明を落としすぎれば2号許可、深夜に酒類を出せば深夜届出が必要です。飲食店営業許可(保健所)を取っただけでは足りません。境界線の具体例はコンカフェの記事へ。

Q5. 風営法の許可・届出は自分でできますか?

可能です。ただし、物件を契約してから区分を確認するのが最も高くつく失敗です。許可営業では場所的要件を満たさない物件だと、そもそも許可が下りません。契約前に区分を確定させることが、結果的に最もコストを下げます。

最後に|区分を確定させることの価値

風営法の相談で、最も多い後悔は同じ形をしています。「先に確認しておけば、コストはゼロだった」——物件を契約する前なら、住所だけで判定できた。サイトを作る前なら、届出の要否は30分で分かった。

区分が確定していないまま進めた事業は、どこかで必ず、選択肢が減った状態で決断を迫られます。内装が終わってから許可が下りないと分かる。決済審査で初めて届出の話が出る。摘発されて初めて、自分が何号営業だったのかを知る。

この記事の役割は、あなたが今どの区分にいるのかを、動く前に確定させることです。それだけで、失うものが大きく変わります。

まとめ

  • 風営法の「風俗」は性風俗に限らない。パチンコもゲーセンもキャバクラも対象
  • 風俗営業1〜5号・特定遊興飲食店営業は「許可」性風俗関連特殊営業・深夜酒類提供は「届出」
  • 届出制は入口が軽い代わりに、営業規制と罰則が重い(非対称性)
  • 映像送信型は場所の規制がなく、今からでも適法化できる。店舗型とはここが決定的に違う
  • 迷ったら、物件を契約する前・サイトを公開する前に区分を確定させる

あなたの業態がどの区分か、無料で診断します

「コンカフェだが接待に当たるか分からない」「配信を事業化したいが届出が必要か分からない」——区分の判断は、開業前の30分で終わります。物件を契約した後、サイトを公開した後では、選べる選択肢が減ります。

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※本記事は2026年7月時点の情報に基づく一般的な解説であり、個別の事案について適法性を保証するものではありません。区分の判断は実態に即して行われ、警察の運用には地域差・時期差があります。