ストーカー被害で警察が動かないと感じた時の法的対応と公正証書による証拠保全

はじめに

皆様、こんにちは。行政書士として、主に契約書作成や公正証書作成を通じて、皆様の生活における平穏な権利と安全の確保を支援しております。近年、ストーカー行為による被害は深刻な社会問題となっており、その被害に直面された方々から「警察に相談したけれど、なかなか動いてもらえない」「被害届や告訴を受理してもらえない」といった切実なご相談を受けることがあります。

「ストーカー 警察 動かない」というキーワードで検索されている方は、現在、生命や身体の安全に関わる強い不安を感じており、警察が介入しない現状を打破し、安全を確保するための具体的かつ法的な手段を緊急に求めていらっしゃると推察されます。その検索意図は、「警察が動くためのボーダーラインは何か」「被害状況を法的に証明する確実な方法を知りたい」「ストーカー行為を止めさせるための法的書面を作成したい」といった、現状を変えるための実効性のある情報に関することでしょう。

ストーカー事案において、警察の初期対応が遅れると、被害がさらに深刻化するリスクがあります。警察が動くためには、単なる「怖い」という感情ではなく、ストーカー行為の反復性や悪質性を裏付ける客観的かつ継続的な証拠が必要です。契約書作成や公正証書作成を専門とする私たち行政書士は、この「証拠の書面化」と「法的な要件充足」という点で、被害者の皆様の安全確保に向けた初動を強力にサポートできます。

この記事では、法律用語に馴染みのある読者の皆様に向けて、ストーカー行為を規制する法律の要件と、警察の捜査開始の判断基準を詳細に解説します。そして、公正証書作成の専門家として、警察が動かない状況で被害者が自ら講じるべき法的書面作成による証拠保全と、加害者への法的措置について、丁寧かつ詳細に解説してまいります。

この記事でわかること

この記事を最後までお読みいただくことで、次の点が明確になります。

  • ストーカー行為を規制するストーカー規制法の基本的な定義と、警察による警告・禁止命令の発出に必要な法的要件を理解できます。
  • 警察が被害届や告訴の受理に慎重になる背景にある、犯罪の嫌疑や証拠の客観性といった判断基準を把握できます。
  • ストーカー行為の具体的なパターンを記録し、法的な証拠として確立するための適切な記録方法について知ることができます。
  • 公正証書作成の専門家として、加害者との接触を避けた間接的な法的警告や、将来的な紛争に備えるための合意書の公正証書化の役割について理解できます。

事例 職場と自宅周辺での待ち伏せ行為

これはあくまで架空の事例であり、特定の事案に基づくものではありません。

Jさんは、過去に交際していたK氏と別れて以降、K氏からのストーカー行為に悩まされていました。K氏の行為は、当初は執拗なメッセージ送信だけでしたが、徐々にエスカレートし、Jさんの職場周辺や自宅周辺での待ち伏せ行為や、無言電話、さらにJさんの行動を監視していることを示唆するようなメッセージの送信が頻繁に行われるようになりました。Jさんは、日常生活における強い恐怖と不安から、精神的な負担を感じるようになりました。

Jさんは、警察に相談し、被害届の提出を希望しましたが、警察の担当者からは「まだ具体的な危害が加えられたわけではない」「待ち伏せ行為の証拠が曖昧で、ストーカー規制法に基づく警告や禁止命令を出すには、行為の反復性や悪質性の立証が難しい」といった理由で、すぐには積極的な対応をしてもらえない状況に直面しました。

Jさんは、このままではいつ被害が深刻化するか分からないという危機感を持ち、警察の対応を待つだけでなく、自ら法的な手段を講じる必要があると考えました。特に、K氏の行為の記録を確実な証拠として残し、将来的な損害賠償請求や刑事告訴に備えるため、法的な書面作成を専門とする行政書士に相談することにしました。

法的解説と専門用語の解説

ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)

ストーカー規制法は、恋愛感情などの好意の感情またはそれが満たされなかったことへの怨恨の感情を充足する目的で、特定の者に対し「つきまとい等」を反復して行うことを規制し、国民の身体、自由及び名誉の安全と平穏な生活の権利を保護することを目的とした法律です。

この法律における「ストーカー行為」とは、次の二つの要件を満たすものと定義されています。

第一に、つきまとい等を行うこと。法律では、つきまとい、待ち伏せ、住居等への押し掛け、無言電話、電子メールやSNS等での連続送信、汚物等の送付など、8つの類型の行為が定められています。事例のK氏の「職場と自宅周辺での待ち伏せ」「無言電話」「メッセージの送信」は、これらの類型に明確に該当します。

第二に、この「つきまとい等」が反復して行われること。単発の行為ではなく、被害者の意に反する行為が繰り返し行われることが要件となります。

警察が警告や禁止命令の発出、あるいは刑事事件として立件を進めるためには、この「反復して行われた」事実を客観的な証拠で証明できるかが極めて重要となります。

ストーカー規制法第2条

この法律において「ストーカー行為」とは、つきまとい等(前項各号に掲げる行為をいう。以下同じ。)を、同一の者に対し、反復してすることをいう。

警察が「動かない」と感じる場合、多くはこの「反復して行われた」事実を裏付ける具体的な日時、場所、内容の記録が不足しているためです。被害者が記録した日記やメモ、録音、写真、電子メールの履歴などが、この反復性を証明するための不可欠な証拠となります。

禁止命令

禁止命令とは、警察がストーカー行為の加害者に対し、これ以上のつきまとい等の行為や、被害者の住居等への接近などを禁止するために発する行政処分です。これは、刑事罰の適用に先立って、被害者の安全を確保するために最も実効性の高い手段の一つです。

警察が禁止命令を発出するためには、次の要件を満たす必要があります。

第一に、つきまとい等の行為が繰り返し行われた事実があること。
第二に、将来、再びつきまとい等が行われるおそれがあると認められること。

禁止命令が発出されたにもかかわらず、加害者がこれに違反してストーカー行為を継続した場合、その違反行為は刑事罰の対象となります(ストーカー規制法第18条など)。つまり、禁止命令は、警察が「動く」ための法的なトリガーとなるのです。

事例のJさんの場合、警察が初期段階で動かないのは、K氏の待ち伏せや無言電話が「いつ」「どこで」「何分間」行われたかという客観的な事実の記録が不足しており、上記の「反復して行われた事実」の立証が困難だと判断しているためと考えられます。被害者が詳細な記録を提示することで、警察は禁止命令の発出に向けた調査を開始しやすくなります。

記事のまとめ

ストーカー被害に遭い「警察が動かない」と感じる状況は、被害者にとって極度の不安を伴いますが、それは警察が法的な要件、特にストーカー規制法で定める「つきまとい等の反復性」を満たす客観的な証拠の不足を懸念しているためである可能性が高いです。警察を動かし、禁止命令の発出や刑事告訴の受理を実現させるためには、被害者が自ら、法的な証拠固めを行うことが不可欠です。

私たち行政書士は、この証拠保全と法的書面作成のプロとして、被害者の皆様を強力にサポートできます。

具体的な支援として、まず、ストーカー行為の客観的な証拠(日時、場所、行為の内容)を、法的な要件を満たす形で継続的に記録するための記録書の作成指導を行います。単なる日記ではなく、将来の裁判や警察への提出を想定した書面として整備します。

次に、警察が動かない状況であっても、加害者であるK氏に対し、内容証明郵便を用いて、ストーカー規制法の定める行為の禁止を警告し、これ以上の行為が続けば法的措置を講じる旨を通知できます。これは、加害者に対し法的リスクを明確に伝える間接的な警告となり、また、被害者が拒絶の意思を明確に示したという重要な証拠となります。

さらに、警察が被害届の受理に難色を示している場合、被害事実とそれを裏付ける証拠を詳細に添付し、ストーカー規制法や刑法上の犯罪構成要件を論理的に充足した告訴状の作成を支援します。客観的な証拠と法的な論理で構成された告訴状は、警察の判断を大きく左右します。

また、万が一、加害者側との間で二度と接触しないという合意(接近禁止の合意)が成立した場合、その合意を公正証書として作成することを支援できます。公正証書は、合意内容が公的に証明されるため、将来再び被害が発生した場合の強力な証拠となり、警察や裁判所の手続きにおいて極めて有利に働きます。

ストーカー被害は、時間との闘いです。不安を感じたら、まずは法的な専門家にご相談いただき、適切な証拠保全と法的書面作成を進めることが、安全確保への確実な一歩となります。皆様の平穏な生活と安全を取り戻すため、行政書士として全力でサポートさせていただきます。