口コミによる営業妨害の法的リスクと契約書専門家が勧める具体的な対策

はじめに

皆様、こんにちは。日頃より、契約書作成や公正証書作成を通じて、皆様の事業や生活における法的な安定を支援しております。近年、インターネットの普及に伴い、企業や店舗に対する口コミが、その信用や収益に大きな影響を与えるようになりました。公正な評価であれば問題ありませんが、悪意を持った虚偽の書き込みや過度な中傷が、営業妨害という深刻な問題を引き起こすケースが増えています。

「口コミ 営業妨害」というキーワードで検索されている方は、現在まさに、悪質な書き込みによって事業活動に支障をきたし、どうにかしてこの被害を食い止めたい、あるいは将来的なリスクに備えたいという強い検索意図をお持ちでしょう。具体的には、「口コミの営業妨害は法的にどのような罪になるのか」「損害賠償請求は可能なのか」「法的措置を取る前の予防策として何をすべきか」といった疑問を解決したいと望んでいらっしゃるはずです。

行政書士である私の専門は、紛争を予防するための書面作成、すなわち予防法務です。事業の根幹である信用と売上を脅かす口コミによる営業妨害への対応は、まさに事業者を守るための予防法務の重要な一部です。

この記事では、法律用語に馴染みのある読者の皆様に向けて、口コミによる営業妨害が法的にどのように評価されるのか、そして、契約書作成の専門家として皆様が講じるべき具体的な法的対策と予防策について、詳細かつ丁寧に解説してまいります。

この記事でわかること

この記事を最後までお読みいただくことで、次の点が明確になります。

  • 口コミによる営業妨害が、民事上および刑事上の法律において、どのような権利侵害や犯罪行為として捉えられるのか、その法的評価を理解できます。
  • 特に「信用毀損罪」と「偽計業務妨害罪」という二つの刑法上の犯罪構成要件について、それぞれの違いと口コミ事案への適用可能性を把握できます。
  • 悪質な口コミの投稿者に対して、損害賠償請求を行うための民事的な手続きの流れと、その際の証拠保全の重要性について知ることができます。
  • 契約書や利用規約といった書面作成を専門とする立場から提供できる、口コミによる営業妨害を未然に防ぎ、あるいは発生後の対応を有利に進めるための具体的な予防法務的対策を理解できます。

事例 競合他社を装った虚偽の口コミによる被害

これはあくまで架空の事例であり、特定の事案に基づくものではありません。

C社は、地域で高い技術力を持つと評判のITサービス企業でした。新規の顧客獲得の多くは、これまでの実績と顧客からの紹介によるもので、高い信用力を維持していました。しかし、ある時、C社が運営するウェブサイトやビジネスプロフィールに、複数の匿名アカウントから、ほぼ同時期に悪質な口コミが集中して投稿され始めました。

投稿された口コミの内容は、「C社にシステム開発を依頼したが、納期を大幅に遅延させ、最終的に全く機能しない欠陥品を納品された」「契約書に記載のない高額な追加料金を請求された」「担当者の態度が極めて不誠実で、専門的な知識も欠けている」といった、具体的な虚偽の事実を摘示するものでした。これらの投稿には、明らかにC社の評判を失墜させようとする意図が見て取れました。

これらの口コミが公開されてから数週間で、C社に対して発注を検討していた複数の見込み客が契約を躊躇し始め、中には既に締結寸前だった案件が流れてしまう事態が発生しました。また、既存の顧客からも真偽を問う連絡が相次ぎ、C社の営業活動に深刻な支障が出始めました。売上の減少と、対応に追われる社員の疲弊から、C社の代表者は、これらの口コミが明確な営業妨害に当たると確信し、法的措置を検討することにしました。

代表者は、特に契約書の内容に関する虚偽の摘示が多いことから、契約書の専門家である行政書士に、これらの口コミに対する削除要請および投稿者特定の可能性、そして何よりも今後の事業を守るための対策について相談を求めました。

法的解説と専門用語の解説

信用毀損罪

信用毀損罪は、刑法第233条前段に規定されている犯罪です。

刑法第233条前段
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

この条文が、口コミによる営業妨害において最も適用が検討される根拠の一つです。信用毀損罪が成立するためには、次の要件を満たす必要があります。

第一に、虚偽の風説を流布するか、偽計を用いること。「虚偽の風説」とは、客観的な事実に反する噂や情報を不特定または多数の人に広める行為を指します。事例における「納期を大幅に遅延させ、欠陥品を納品された」という事実は、C社の契約書や納品記録と照らし合わせれば虚偽であるため、「虚偽の風説」に該当する可能性が高いです。

第二に、それによって人の信用を毀損すること。「信用」とは、経済的な側面における人の評価、すなわち、支払い能力や商品・サービスの品質に対する社会的信頼を意味します。ITサービス企業であるC社にとって、納期順守や品質、契約の遵守はまさに信用の中核であり、虚偽の口コミによってこれらの評価が低下したことは明らかです。

信用毀損罪は、事実が真実であるか否かではなく、虚偽の風説を流布したことが重要であり、真実であっても人の名誉を毀損する名誉毀損罪とは区別されます。営業妨害として被害を訴える際には、口コミの内容が明確に事実と異なることを、契約書や客観的な記録をもって証明することが、この罪の成立に不可欠となります。

偽計業務妨害罪

偽計業務妨害罪は、刑法第233条後段に規定されており、信用毀損罪と同じ条文で扱われます。

刑法第233条後段
(前略)人の業務を妨害した者も、前項と同様とする。

偽計業務妨害罪が成立するためには、次の要件を満たす必要があります。

第一に、偽計を用いること。「偽計」とは、人を欺いたり、誘惑したり、あるいは人の錯誤や無知を利用したりする、不正な手段・方法を指します。口コミの事例では、虚偽の口コミを書き込むという行為自体が、一般の消費者を欺き、その判断を誤らせる「偽計」に該当すると考えられます。

第二に、それによって人の業務を妨害すること。「業務」とは、人が社会生活上の地位に基づいて反復継続して行う活動を指し、営利目的の事業活動(営業)はもちろん含まれます。事例では、虚偽の口コミによって、新規顧客との契約が流れ、既存顧客の顧客対応に追われるなど、C社の本来の営業活動が深刻な支障をきたしているため、業務妨害の要件を満たしていると評価できます。

信用毀損罪は信用の低下を結果とするのに対し、偽計業務妨害罪は業務の遂行そのものに具体的な支障が生じたことを結果とする点で異なります。口コミによる被害では、信用が毀損された結果、業務も妨害されるという形で、両罪が同時に成立することも少なくありません。

記事のまとめ

口コミによる営業妨害は、単なる迷惑行為ではなく、信用毀損罪や偽計業務妨害罪といった刑法上の犯罪に該当しうる、極めて悪質な権利侵害です。事業者は、このような被害に遭遇した場合、冷静かつ迅速に法的対応を検討する必要があります。

まず、被害を最小限に食い止めるために、口コミの削除要請をプラットフォームに対して行うことが重要です。しかし、プラットフォームが応じない場合や、投稿者に対する損害賠償請求を視野に入れる場合は、裁判所の手続きを通じて投稿者を特定する発信者情報開示請求などの法的手続きが不可欠となります。

この一連の対応において、私たち行政書士は、特に予防法務と証拠保全の側面から、皆様の事業を力強くサポートできます。

契約書作成の専門家として、私たちは、事例におけるC社のように「契約内容に関する虚偽の摘示」があった場合に備え、入会契約書やサービス利用規約に、「虚偽の情報を流布し、当社の信用を毀損または業務を妨害する行為を明確に禁止する条項」を盛り込むことを強く推奨します。これにより、事業者は、悪質な口コミが投稿された際に、契約違反を根拠とした法的主張を迅速に行えるようになり、プラットフォームへの削除要請や、投稿者への責任追及の際の法的根拠を強固なものにできます。

また、口コミが営業妨害として刑事上・民事上の責任を問えるかを判断するためには、口コミが虚偽であること、そしてそれによって業務に具体的な支障が出たことを証明する客観的な証拠が不可欠です。私たちは、被害状況を詳細に記録するための証拠保全の方法について助言し、プラットフォームや投稿者宛の法的文書を作成することで、次のステップである弁護士への連携をスムーズに行うための準備を整えます。

口コミは現代のビジネスにおいて避けて通れない要素ですが、悪質な攻撃から事業を守るためには、日頃からの予防的な書面整備と、被害発生時の迅速かつ論理的な法的対応が鍵となります。皆様の事業の健全な発展と安心のために、法的書面作成の専門家として全力でサポートさせていただきます。