グーグル口コミの誹謗中傷に契約書作成の専門家が教える適切な法的対策と予防策

はじめに

皆様、こんにちは。契約書作成や公正証書作成を専門として、事業や個人の皆様の法的な安定と安心をサポートさせていただいております。近年、インターネット、特にグーグルマップやグーグルビジネスプロフィールに付随する口コミ機能が、お店や企業の信用に大きな影響を与えるようになりました。その利便性の裏側で、心ない誹謗中傷の書き込みにより、深刻な風評被害に苦しむ方が増えているのも事実です。

「グーグル 口コミ 誹謗中傷」というキーワードで検索されている方は、まさに今、ご自身や会社がそうした被害に直面し、どうにか解決したい、あるいは今後の対策を講じたいという強い検索意図をお持ちだと拝察します。具体的には、「悪質な口コミを削除する方法を知りたい」「投稿者を特定して責任を追及したい」「法的対応にはどのような種類があり、費用はどれくらいかかるのか」といった切実な疑問を抱えていらっしゃるでしょう。

行政書士である私の専門分野は契約書作成や公正証書作成が主ですが、これらの業務はすべて、依頼者様の権利と利益を守り、法的紛争を未然に防ぐ「予防法務」に繋がっています。インターネット上の誹謗中傷対策も、事業の信用という重要な財産を守るための予防法務の一環です。

この記事では、法律の用語に馴染みのある読者の皆様に向けて、グーグルの口コミにおける誹謗中傷への適切な法的対応と、再発を防ぐための契約上の予防策について、専門家の視点から丁寧に解説してまいります。

この記事でわかること

この記事を最後までお読みいただくことで、次の点が明確になります。

  • グーグル口コミの誹謗中傷が、日本の法律においてどのような権利侵害に当たるのか、その法的構成について理解できます。
  • 誹謗中傷の書き込みを削除するために、まずは自力で行えるグーグルへの報告手続きと、行政書士がサポートできる任意交渉の手続きを把握できます。
  • 口コミ投稿者を特定し、損害賠償などを請求するための「発信者情報開示請求」という法的手続きの概略とその流れについて知ることができます。
  • 誹謗中傷のリスクを未然に防ぐための、契約書や利用規約といった書面作成の専門家としての視点からの予防策を理解できます。

事例 虚偽の契約内容を書き込まれた学習塾のケース

これはあくまで架空の事例であり、特定の事案に基づくものではありません。

B社は地域密着型の学習塾を経営しており、生徒数は順調に増加し、地域での評判も概ね良好でした。ある日、B社のグーグルビジネスプロフィールに、以下のような口コミが匿名で投稿されました。「この塾は、入塾時に説明された『いつでも退塾可能で月謝は日割り計算』という契約内容を反故にし、退塾時に一か月分の月謝を違約金として徴収しようとした。非常に不誠実な対応で、詐欺まがいの商売をしている」

実際には、B社が使用している入塾契約書には、「退塾の申し出は前月の末日までに行うものとし、月の途中の退塾であっても月謝は日割り計算せず、一か月分を頂く」旨が明確に記載されており、入塾時の説明もその通りに行っていました。投稿された口コミは、契約内容とは全く異なる、虚偽の事実を摘示するものでした。

この口コミが投稿されて以降、新規の入塾問い合わせが急減し、既存の保護者からも「あの口コミは本当か」という問い合わせが相次ぎました。B社の代表者は、事実ではない情報によって塾の信用が著しく毀損されていることに危機感を抱き、この悪質な口コミをすぐに削除したいと考えました。また、虚偽の情報を流布した投稿者に対して、何らかの責任を追及したいとも考えています。

B社の代表者は、自社の契約書に精通し、法的な書面作成を専門とする行政書士に、この誹謗中傷への対応と、今後の予防策について相談することにしました。

法的解説と専門用語の解説

名誉毀損

事例の口コミのように、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損する行為は、刑法上の名誉毀損罪(刑法第230条)や、民法上の不法行為(民法第709条)を構成する可能性があります。

特に重要なのは民法上の不法行為です。名誉毀損とは、社会における人の評価、すなわち社会的信用を低下させる行為を指します。グーグル口コミという不特定多数の人が閲覧可能な場で、B社の学習塾が「詐欺まがいの商売をしている」という虚偽の事実を書き込まれたことで、B社の社会的信用が低下し、新規顧客の減少という損害が発生していることは明らかです。

名誉毀損が成立するためには、次の要件が満たされる必要があります。

第一に、公然と事実を摘示すること。グーグルの口コミは誰でも閲覧できるため、公然性の要件は満たされます。
第二に、事実を摘示すること。ここでいう事実は、虚偽であるか真実であるかを問いません。事例では「契約内容を反故にした」という具体的な事実が摘示されています。
第三に、それによって人の名誉を毀損すること。すなわち、社会的評価を低下させることです。

ただし、摘示された事実が公共の利害に関するものであり、その目的が専ら公益を図ることにあり、さらにその事実が真実であると証明された場合には、名誉毀損は成立しないという例外規定があります。しかし、本事例の口コミは、B社が提示した契約書の内容と明確に異なる虚偽の事実を摘示しているため、この例外が適用される可能性は極めて低いと言えます。

名誉毀損は、事業者の信用を直接的に傷つける重大な権利侵害であり、その被害の拡散性と持続性から、インターネット上の誹謗中傷の中でも特に迅速な対応が求められます。

発信者情報開示請求

誹謗中傷の被害を受けた事業者が、投稿者に対して損害賠償請求や謝罪広告の掲載といった法的責任を追及するためには、まず、その投稿者が「誰であるか」を特定する必要があります。この特定のための手続きが発信者情報開示請求です。

これは、インターネット上で権利侵害を受けた者が、その侵害情報の発信に関わった特定の者に対して、発信者に関する情報(氏名、住所、電話番号、電子メールアドレスなど)の開示を請求する法的な手続きです。この手続きは、主に「プロバイダ責任制限法」という法律に基づき行われます。

プロバイダ責任制限法第5条第1項には、次のように規定されています。

特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、次の各号のいずれにも該当するときは、当該特定電気通信役務提供者に対し、当該侵害情報の発信者の氏名、住所その他の侵害情報の発信者に関する情報の開示を請求することができる。

一 侵害情報の発信者情報開示請求権の行使により開示を受けるべき情報が、侵害情報の発信者の損害賠償請求権の行使のために必要であると認められること。
二 開示を受けるべき情報が、財産権その他の権利の侵害を回復するために必要であると認められること。
三 侵害情報の発信者情報開示請求権の行使により開示を受けるべき情報が、財産権その他の権利の侵害の回復に資するものであると認められること。

(注 プロバイダ責任制限法は令和3年に改正され、特定非訟事件手続きとして開示請求が一元化されましたが、ここでは基本的な考え方を理解いただくために旧法的な表現を含め解説します。)

グーグルの口コミの場合、開示請求は二段階で進められるのが一般的です。

第一段階として、グーグル社(サービス提供者)に対して、投稿時に使用されたIPアドレスなどの情報の開示を請求します。
第二段階として、開示されたIPアドレスから判明したインターネット接続業者(プロバイダ)に対し、そのIPアドレスを使用していた契約者(投稿者)の氏名や住所などの情報の開示を請求します。

この手続きは、裁判所を介した複雑な手続きとなるため、専門的な知識が不可欠です。また、特に注意が必要なのは、プロバイダが保持するIPアドレスのログは一定期間で削除されてしまうため、早期に行動を起こす必要があるという点です。ログが消滅してしまえば、投稿者を特定することは極めて困難になります。

記事のまとめ

グーグル口コミに悪質な誹謗中傷を書き込まれた場合、それは単なるクレームではなく、事業者の社会的信用を著しく毀損する名誉毀損という重大な権利侵害に発展する可能性があります。先の事例のように、虚偽の事実に基づいた口コミは、事業の存続にも関わるほどの深刻な風評被害をもたらしかねません。

被害を受けた際には、まずはグーグルが定めるポリシーに基づき、不適切な口コミとして削除申請を行うことが最初のステップです。しかし、グーグルが任意で削除に応じない場合や、投稿者に対する責任追及を視野に入れる場合には、法的な手続きが必要となります。

行政書士は、この初期段階から、グーグルやプロバイダに対する削除要請や、発信者情報開示請求を見据えた文書作成の専門家として、皆様をサポートすることが可能です。特に契約書作成を専門とする立場からは、事例のような「契約内容とは異なる虚偽の指摘」に対して、正式な契約書や公正証書の内容を根拠とした法的に説得力のある削除請求文書を作成できます。これは、単なる感情的な訴えではなく、客観的な証拠に基づく法的論理を明確にすることで、グーグル側の削除判断を促す上で非常に有効です。

また、再発防止策として、契約書やサービス利用規約に、「本サービスの利用者は、当社の社会的信用を不当に毀損する行為を行わないこと」や、口コミ投稿に関する明確な禁止事項を盛り込むなど、予防法務の観点からのアドバイスも提供できます。明確な禁止事項を契約で定めることは、万が一、再び誹謗中傷が発生した際に、投稿者に対する法的措置の根拠をより強固なものにする効果があります。

インターネット上の誹謗中傷は時間との勝負であり、対応が遅れると証拠が失われ、被害が拡大する恐れがあります。被害に気づいた際には、証拠を保全し(スクリーンショットなどを保存する)、冷静かつ迅速に専門家にご相談いただくことが、被害を最小限に抑えるための最善策です。

皆様の事業の信用という大切な財産を守るため、法律の専門家として、契約書作成や公正証書作成の知識を活かした適切な法的サポートを提供いたします。