越境ECにおける特定商取引法の適用範囲とサイト表記の法的リスク回避策

1 はじめに

この度は、当ブログにお越しいただき誠にありがとうございます。

インターネットと物流の発達により、日本の事業者が海外の消費者へ商品・サービスを販売する越境ECは、国内市場にとどまらない大きな可能性を持っています。しかし同時に、日本法がどこまで適用されるのかという複雑な法的問題も伴います。

「越境EC 特定商取引法 表記」で検索されている方の多くは、海外向け販売で特商法上の表記義務が必要なのか、その判断基準と法的リスクを正確に知りたいはずです。特商法の表記を怠れば、事業停止命令を含む行政処分のリスクすらあります。

この記事では、越境ECにおける特定商取引法の適用判断、ウェブサイトの必須表記、国際私法との関係性を明確に解説します。

2 この記事で理解できるポイント

この記事を読むことで、あなたは以下を明確に理解できます。

・越境ECに特商法が適用される条件と判断基準
・義務表記を怠った場合の行政処分リスク
・準拠法設定・利用規約整備の必要性

海外向け販売だから適用外になる ―― これは危険な誤解です。
正しい判断軸があれば、越境ECの法的リスクは大きく軽減できます。

3 法律軽視の結果 行政指導となった架空事例

越境ECの法律適用を誤解し、後に行政指導を受けたK社の例を紹介します。

海外顧客向けに工芸品を販売していたK社は、サイト表記を英語のみで運用し、特商法表示を一切設置しませんでした。K社は「海外向けだから日本法は関係ない」と判断したためです。

しかし調査の結果、以下の理由により特商法の対象となる可能性があると判断されました。

・事業者が日本国内に所在していた
・商品発送・決済処理が日本国内で実施されていた
・日本IPから購入可能だった(完全排除できていなかった)

⇒ 結果:行政指導寸前にまで発展し、信用低下・運営リスクを抱える事態に。
越境ECであっても、販売運営が日本にある以上、特商法が適用されうるという現実を示す典型です。

4 越境ECで特商法が問題となる3つの法律ポイント

越境ECでは以下3点が特に重要です。

1)**特商法の目的と適用範囲**
消費者保護のための法律であり、形式ではなく「実質的に日本法域で行われているか」で判断されます。

2)**準拠法の問題(国際私法)**
契約で日本法を準拠法としても、消費者の居住国の強行規定が優先される場合があります。
→ 特商法表記は免れない可能性がある。

3)**特商法11条の表示義務**
氏名/住所/電話番号/価格/返品特約などの表示が必須。
越境ECでも日本消費者を排除できなければ対象。

5 実務上必要となるサイト表記と利用規約整備の視点

リスク回避のためには以下の対策が有効です。

・特商法表記ページを明示的に設置(日本語表記推奨)
・規約内に販売対象地域・非対象地域を明示
・準拠法を日本法とする条項、紛争解決先の明示

※ただし準拠法を定めても外国強行法規は適用除外にできない点は必ず理解。

6 迷ったら専門家へ それが最も低コストの防御となる

越境ECの適用判断は単純ではありません。
判断を誤れば、行政指導/過怠金/ブランド毀損/国際訴訟という致命的損失に発展します。

規約作成や表示整備の費用は、後のトラブルコストに比べれば極めて小さい投資です。
専門家のレビューを入れるだけで、法的安全性は大きく向上します。

7 越境EC×特商法の対応・契約書作成の相談はこちら

当事務所では以下をサポートしています。

✔ 特定商取引法に基づく表記診断・作成
✔ 海外販売向け利用規約・売買契約書の作成
✔ 国際紛争リスクを踏まえた条項レビュー

お問い合わせはフォーム・LINEから可能です。
コンプライアンスを確保し、安全に越境ECを拡大するための支援を提供いたします。

最後までお読みいただきありがとうございました。